クルマのハンドルには通常、「あそび」というものがあります。運転する人は知っていると思いますが、ある種の余裕のことですね。
ほんの少しだけハンドルを切っただけでクルマの向きが変わるようなシビアな状態では、怖くてとても運転などできるものではないです。
だから、鋭敏さを少し鈍らせて、その反応に余裕を持たせてあるわけです。直進状態で、ハンドルを少しくらい左右に動かしても、クルマはそれほど反応することなく真っ直ぐに進んでくれるのは、そうした「あそび」があるからです。
人の心にもこれと同じような、いわゆる「あそび」という余裕が必要ですね。セラピストになった頃からずっと言い続けていることに、子供にとって一番いい親というのは、心に余裕のある親だというのがあります。
親がどんな性格の持ち主かということはあまり大きな問題ではありません。どれだけゆとりを持って子育てをしていられるのかということが大切なのです。
子供は言葉ではなく、親のそうした心の状態を敏感に検知して、それと同じような精神状態になってしまうからです。
大人になってもなんとなく、いつも切迫したような感覚を持っているという場合には、この心のゆとりである「あそび」が足りない状態になっていると気づくことです。
そして、クルマのハンドルと同じように、心に「あそび」の部分を作ってあげること、これがとても大事なことです。
遊び心のある人は、感情に揺さぶられる度合いが少ないはずです。なぜなら、物事の善悪や正不正などを解釈するところに、「あそび」の要素が入り込んでくれるからです。
逆に、「あそび」が少ないと、何にでも生真面目に反応してしまうために、本人も周りもとても生きづらくなってしまうのです。
あなたの遊び心はどのくらいあるでしょうか?自分の生きやすさと「あそび」は比例するはずですので、折に触れてよく観察してみるといいと思います。
そして、みんなで遊び心満載な人生を楽しみたいものですね。