覚者は世界なしで生きる

私たちは、みんなでこの地球、この世界を共有していると思い込んで生きているのです。世界は一つだと信じているからです。

けれども、実際には個人個人が別々の人生を創って、その世界の中で生きているのです。私の世界とあなたの世界は違う世界なのです。

あなたがあなたの地獄を創り出し、あなたの天国を創り出すのです。それは、私の世界にある地獄や天国とは違うものなのです。

このことに気づいていないと、軋轢が生じたり、争いや揉め事が起こるのも当然のことだと分かります。

逆に、全く異なる世界でそれぞれが生きていることにしっかり気づくことができれば、考え方がすれ違ったとしてもそれを受容できるのです。

個人と個人が真に分かり合えるということはないのです。他人とは残念ながら自分の世界からは遥か遠くにある別の世界の中で暮らしているのですから。

ただし、一時的であったとしても個人としての自己が消えているときには、融合が起きて本当に一つになっていられることもあるのです。

つまり自我がないときということです。その時だけは、すべては一つという愛の状態に戻ることができるのです。

覚醒して自我が落ちてしまった人は、もう独自の世界を創ることもなくなってしまい、その人は世界なしに生きることになるのですね。