期待が小さくなると…

今この瞬間に対して期待するということはできません。それはすでに今この瞬間が起きてしまっているからですね。

つまり、期待というのはそれがどの程度であれ未来に起きることに対してだということなのです。数秒後の未来であろうと、一年後の未来であろうと同じです。

「期待=未来」ということですね。今起きていないことに対してのみ期待することができるというわけです。

そしてそもそも自我というのは、期待が大好きなのです。期待に胸を膨らませる…という表現があるように、自我は期待なしでは生きていけないのです。

だから期待するのはいいことだと思えるかもしれませんが、それが落とし穴であることは簡単に気付けるのです。

もしもあなたが期待のなかに取り込まれているとしたら、それは存在しない空想の世界の中で生きているようなものだからです。

そしてもしもその期待が裏切られるなら、あなたは傷つくことになるのです。しかも期待値が高ければ高いほど、深い傷を負うことになるのです。

傷つくことが悪いことだというのでは全くないのですが、もしも傷つきたくないというなら、期待して未来という空想の中で暮らすことをやめることです。

期待することは非常に安易であり、今起きつつあることだけに意識を向け続けることはとても難しいのです。

それが自我の特性なのです。それでも少しずつ期待を小さくすることができるなら、人や起きることに腹を立てることも減るし、そもそも自我も小さくなって、自由で自然な生き方へと向かうことになるのですね。