一体感が自我を圧倒する

中学3年生の時の運動会で、オオムカデ競争というのがあって、各クラスごとに男子が全員でロープを脚に括って数珠つなぎになって、まるでムカデのようにして競争するのです。

二人三脚の要領でそれを縦にしてクラス男子の人数分繋げて、左右の足を全員で合わせて進むので、それなりに技術がいるのです。

イチニッ、イチニッと全員で掛け声に合わせて足を動かすのですが、一人でもリズムが狂ってしまうと、ドミノ倒しのように全員がこけてしまうというスリルがあるのです。

そのためいつもバラバラだったクラスの男子どもが、運動会の前にどこかの空き地に集って結構真面目に練習したものです。

その甲斐あってか、私のクラスはムカデ競争で優勝したのです。運動会の最後の出し物として大いに盛り上がる競技なので、嬉しかったですね。

徒競走で個人的に一位になるのよりも数倍嬉しかったのを覚えています。みんなと力を合わせて一体となることは、こんなに感動的なんだと知ったわけです。

これと似たような事は、誰にでも一度や二度経験としてあると思います。人は一体感を味わうと非常に喜び感動するのです。

これが肝ですね。つまり私たちは一体感を感じたいのです。なぜなら自我として理不尽にも孤として分割してしまっているからです。

一体感の中にいる時には、孤立した自我が非常に薄れてしまっている状態なので、とても気持ちが良いのです。

自我(個人)という分離の幻想から抜けて、全体と一体に戻る真実のひととき、その体験が何にも勝るものだという事ですね。