ただやってきてくれるプレゼント

何の理由もなく、どんな予告もなく、ただあるとき急にふと感じる幸福な感覚、それが好きなのです。ただそれを意志の力で引き寄せることができないのです。

それと、その感覚がいつまで続くかも分からないので、それがまた儚い感じがしていいのかもしれません。

それに対して、何か自分の努力で望むものを手に入れたときの感動も好きですが、こっちはその後にある種の失望がやってきます。

あれほど憧れて、どれほど夢に見たかと思うようなものが、やっと手に入って大喜びしているはずが、それほどその興奮は続くことがないのです。

だから、絶頂を極めてしまうと、後にやってくるのは谷底でしかないということなのかもしれません。

このような理由のある満足感は、いつだってそれほど長く続いたことはなくて、私はそれを失望と呼ぶことにしています。

だから冒頭の、理由のないフワッとした緩やかな幸福感の方が好きなのです。やってきてくれたのを当然とも思えないところもいいですね。

そうしてみると、私の場合は自分の力で何かを成し遂げても満足することがなく、逆にただやってきてくれたものへのプレゼント感が好きなのです。

この社会では脱落者になるしかないのかもしれませんが、そういう性分なのでそれで良しとして生きています。