中立な心

私たちは中立な心で生きていると思い込んでいます。つまりそれは、自分の外側で何かが起きたので、それに対して反応をしているだけだと思っているということです。

何事も起きなければ、いつでも中立で平静な心でいられると信じ込んでいるのです。朝起きたときに、雨が降っていて気圧が低下しているので気分がすぐれないだけだと感じているのです。

職場に出かける途中で満員電車を我慢しなければならないという現実によって、心が疲労してしまうと思っています。

仕事中に上司にいやみを言われたり、理不尽なことをされたりするから怒りが湧いて出てくると考えているのです。

そういういやなことが起きなければ、自分はいつも冷静で穏やかな心で居られる、それが中立だということを証明しているように思うのです。

しかし本当はそうではありません。私たちの心が中立で平静であれば、それを乱すようなことは何も起きないのです。

元々自分の心の中に怒りがあるからこそ、怒らざるを得ないような現実がやってきてしまうのです。こういうことを引き寄せの法則と呼ぶ人もいますね。

あらかじめあった、こうしたいという不満な思いこそが、その不満を正当化するような現実がやってきてしまう原動力なのです。

つまり心の奥の状態がそのまま現実の世界に反映されて起きているということです。何事も起きなければいつも平静でいられるというのは都合のいい解釈をしているに過ぎません。

心の中に隠し持っている様々な要素をすべてこの現実の世界に映して見せてもらっているというのが真実だということです。

この世界から争いが絶えないのは、心の中に争い続けているつもりになっている意識があるということを証明しています。

外側の世界に影響されてしまっているという思い、そうした信念を少しずつ手放していくことが心の癒しにはどうしても必要なことなのです。

それなくしては、決して本当の自分の心の状態を把握することができません。心は受動的なのではなく、能動的であるということを忘れないことです。