自己否定感

自分を否定する思いの強さというのは、人それぞれに違いがあります。自己否定が全くないという人はいないものですが、なぜ人によって大きな違いがあるのでしょうか。

ある人は、自分はだめだなあと思うものの、まあ人間なんてそんなものだから、自分だけが取り立てて駄目なわけじゃないよ、と深刻にならないでいられます。

またある人は、人のことはよく分からないけれど、どうやっても自分はこれでいいんだという思いを持つことができないので、激しい自己否定があったらそのままになってしまうということです。

この両者の違いは一体どこからくるのかを検証してみたいと思います。まず一つ目の違いは、自分だけが駄目だと思うのか、人間みんな似たようなものだと思うのかです。

自分一人だけが駄目で、他のみんなは駄目じゃないということがはっきりしたら、それはどうしたって自己否定が強くなってしまうはずです。

前者の人は、所詮人間とは不完全なものだから、自分が駄目なのは当然だということが分かっているので深刻にならずにいられるわけです。

後者の人は、他の人のことは分からないと思っているので、自分の駄目さ加減だけが目に付いてしまうのですから、自己否定を回避することができなくなります。

また、幼いころに親や家族からしっかり受け入れてもらえた経験があれば、心の深いところに自分は駄目じゃないという思いが残っているのです。

それがあると、自己否定が起きたときに、その駄目じゃないを見ることで自己否定が緩和されたり、なくすことさえできるわけです。

ところが、幼い頃に受け入れられた経験が乏しいと、それだけで自分は駄目だという確固とした思いが心の奥に残ってしまうのです。

したがって、自己否定が起きたときには、それを助長することはあっても、それを緩和したりすることはできなくなってしまうということです。

つまり、自己否定が頑固にまとわりつく人の場合というのは、自分を客観視することが苦手であるというケースと、幼いころの被受容経験の欠乏が原因であると言えると思います。

人間の心とは、あらゆるものを含んでいるということ、いいことも悪いことも織り交ぜて持っているということをしっかり理解することがとても重要です。

その上で、幼い自分(インナーチャイルド)を徹底的に受け止めてあげるという作業を繰り返すことです。それによって、自分は駄目だという頑固な思い込みを手放していくことができるのです。

この二つを実現することができれば、たとえ自己否定感がやってきても、それをみずから緩和し、流し去ることができるようになるのです。