幼いころの決意

私たちは、気づいていようが気づいていまいが、沢山の決め事を心に持って生きています。大人になってから決めたこともあるし、子供の頃にこうしようと思ったこともあるはずです。

実は、幼い頃に決心したことは、大人になってから決心することに比べて何倍も強く心に刻み込まれていて、後々それを解除しようとしても簡単にはできないのです。

それはなぜかというと、幼い頃の決心というものは、その多くが恐怖などのネガティブな感情と深く関連付けられているからです。

大人になってからの決心は、基本的には理性によってこうすべきであると決めるのですが、幼い頃の決心は極端に言えば命がかかっているともいえるのです。

だからこそ、その真剣さは尋常ではありません。命がけで決めたことだからこそ、そう簡単には解除することができないのも当然です。

さらに、そうした決心をした幼い心というものは、インナーチャイルドとして大人になった当人の心に今現在も生き続けているのです。

したがって、大人の自分が不自由さを感じてそれを解除しようと努力しても、インナーチャイルドの命がけの決心は今も強烈に作用するので、太刀打ちできないのです。

例えば、幼いときに叱られて泣くと、親から「泣くな!」と怒鳴られた経験が繰り返されたとすると、泣けば余計に叱られるわけですから、「泣かない」という必死の決意をしてもおかしくありません。

そんな場合には、大人になって感情を開放しようとしても、泣くことはおろか、どんな感情も出なくなってしまったということはよくあることです。

子供の時の決意を解除するためには、当時自分はそれを命がけで決意したのだということをまず思い出すことが必要です。

その上で、その決意をすることになったいきさつやその必死な思いなどをよく思い出してあげて、その時の感情を味わうようにすることです。

そうしたことを繰り返すことで、次第に固く閉ざしていたインナーチャイルドの心が緩んできます。そうすれば、過去の決意を手放していくことも可能になり、不自由さを克服していくことができるのです。