心の癒しを進めていくと、その人ごとに様々な内的変化が起こってきたり、実際にその人の周辺で起こることにも変化が現れてきたりします。
けれども、癒しの過程において誰にとってもまったく同様にやってくることがあります。それは、心理的自己防衛が少なくなっていくということ。
私は物事をシンプルに扱うことが大好きなので、敢えてこういう言い方になるのかもしれませんが、要所をつかむとすれば結局そういうことなのです。
最も癒しが進んでいない状態とは、激しい自己防衛の操り人形のようにして生きている場合です。本人には、その苦悩から逃げ出すための出口がないように感じてしまいます。
なぜなら、自己防衛をし続けることを前提として、どうしたら苦しみから抜け出すことができるだろうかと考えてしまうので、それは当然出口など見つかるはずがないのです。
そのステージにいる人の特徴は、比較的いい人と思われていたり、自己表現がひどく苦手だったり、自分を優先することができないといったことがあげられます。
癒しの次の段階へ進むと、それまで続けていた自己防衛のうちの何割かをやめていくようになります。それだけ人生での縛りが解けていくわけですから、その分本人は楽になります。
その状態の人は、いい人を返上して、いわゆる立派なエゴの人を実践していけるようになり、したがって、自分を優先することが徐々にできるようにもなっていきます。
もちろん、これが癒しの最終形ではありません。より自己防衛が減っていくと、今度は心的自己犠牲のない状態での他人を優先するという生き方になっていきます。
自己防衛というエゴが更に減るのですから、文字通り過去や未来にとらわれない生き方、自分の思考や感情を受け止めることで、それらに巻き込まれないようにもなるはずです。
自己防衛に巻き込まれずに、つまり無防備になっていけばいくほど、その人のエネルギーは軽くなり、深刻さは微塵もなくなってしまうでしょうね。