より意識的に生きる

動物というのは無意識です。生まれてから死ぬまでずっと無意識状態で生きているのです。だから、彼らは自分が幸せなのか不幸なのかという想いを持ったことがありません。

彼らにあるのは、快不快だけです。私たち人間が持つような精神的な苦しみというものはありません。だからある意味羨ましいことなのですが、彼らにはその自覚がないのです。

一方、人間には自覚というものがあるのです。それを一般的には表面意識とか顕在意識と呼んでいますが、残念なことにそれは全体の意識の10%以下とも言われています。

ということは、残りの90%の部分については意識することができないでいるのです。こうしたことは、今では多くの人が知識としては持っているのですが、それが原因で苦悩するのだということを理解はできてないかもしれません。

人間とは何と中途半端な状態、宙ぶらりんな状態に置かれているのでしょうか?幼い子供も、ちょうど動物のようにほとんどが無意識の状態です。

だから彼らもやはり動物のように無邪気でいられるのです。幼児にも快不快しかありません。お腹が空いたら泣き、満腹になって満足したら寝るだけです。

そして成長するにつれて、少しずつ表面意識が増えて行き、10歳くらいになってようやく大人と同じ意識構造へと発達するのです。

でも残念なことに、意識的な部分はたったの10%程度で抑えられてしまうのです。それ以外のすべてが意識することができないままなのです。

そのたった10%の自覚の中で、「自分」という中心を持っていると錯覚しているのです。それは決して中心ではなく、周辺と言った方が当たっているのです。このニセの中心こそが、自我(エゴ)なのです。

けれども、もしもあなたが自分に意識を向け続けることによって、もっともっと意識的になることができるなら、いずれは無意識の部分がなくなり、全体を意識することができるようになるはずです。

その時こそ、本当の自己の中心を見出すことになるのですね。その時こそ、本当のあなたの本質として、あなたは在ることができるのです。

それは、人間だけが抱えていた苦悩がなくなるだけではなく、幸不幸さえも消えてなくなってしまうでしょう。そして、自己の本質である永遠の至福そのものとなるのです。

無意識状態から目を覚ますために、外を見た分だけ、外を見ている自分を見ることです。美しいバラの花に見とれた分だけ、見とれている自分に意識を向ける練習をして下さい!