眼球を固定すると意識は内向きになる

私たちの視覚というのは、一瞬にして物の形状や大きさなどを把握することができますね。実際に試してみてもらったら、すぐに分かるのですが、目の前にある何か、卓上時計でもパソコンでも何でもいいのです。

あまりに大きすぎて、目をぐるりと回さなければ見えないくらい大きいものはともかく、その物体を見たと同時くらいにそれがどんな大きさでどのような形をしているかを見極めることができるのです。

これは、ようく観察するとすごいことだと分かります。それは、私たちの視覚が眼球を瞬時に動かして、対象物の外周をぐるりと一周見てしまうのです。

それは見事なまでのやり方で、自覚する暇もないくらいのスピードで眼球が動くということですね。そのおかげで、私たちは目の前の物質の全体像を瞬時に把握することができるのです。

逆にいえば、眼球は放っておけばいつでも振動しているということです。一か所をじっと見続けるということに慣れていないということです。

放っておけばずっと動き続けている眼球を、意識的に一点に据えて、動かないように固定してしまうこともできるはずですね。そうなると動くことでその機能を果たしている眼球は困ってしまうのです。

するとどうなるかというと、実は動くことができない眼球は、見る方向を変えてしまうのです。つまり、外側へと向かっていた視線が、急に180度反転して見ている自分に向くようになるということです。

このことは実際に試していただければすぐに分かることですが、見るとはなしに一点に視点を固定してしまうと、面白いように視線が内向きになってしまうことに気づくはずです。

これは自分の意識に意識を向けるということには好都合です。そのために、瞑想の時には目を閉じるという方法と同時に、伏し目の状態にして一点に視点を据えるという方法もあるのです。

どちらが、より自分の意識へと注意を保ちやすいかは、実際に試してみるといいと思います。どんなことでも、読んでなるほどと納得して終わりにせずに、すぐに実践してみることですね。

それには、興味があるかどうか、そして何かに困っているという状況のどちらかが役に立つのだろうと思います。