本当の救い

今の自分のことを、どうしても認めることができないという人が大勢います。どうやったって、このままでOKなどとは思うことができないということですね。

大嫌いな自分のことなど、到底愛することなどできないと感じているわけです。そんな時に、それでもなんとかして、自分を好きになってくださいと助言するセラピストがいたとしたら、それは明らかに間違いです。

誰かのことを許すことができなくて、苦しんでいるという方もいます。許せない頑なな自分のことも否定してしまうのです。そんなときに、何とか許せないものかと努力するのも、同じような間違いです。

こうした衝動が心の中にあるのは、当然のことだと思いますが、力を使って自分を矯正しようとすることは、かえって苦しさを増大することになるばかりで、そこからは何も得るものがないのです。

自分を認められないのなら、そのことをまずはしっかり認めることです。認められない自分というものを、まずは認めてあげることです。

自分自身が嫌いだということ自体を認めるのです。誰かを憎んでいて、許すことができない心の状態そのものをまずは認めてあげることです。

それができるなら、自分を矯正しようとするエネルギーが一歩退いていくはずです。自分を力でねじ伏せていいなりにさせようとすると、北風と太陽の話しのように、自分との関係が悪化してしまいます。

北風のようなやり方は、後々に怨恨を残すことにもなりかねません。こんな自分なんか、いなくなってしまえばいいのにと思うことを無理にやめようとする代わりに、そうやって苦しんでいる自分を抱きしめてあげるのです。

あなたの内面に、桁違いに広大で途方もなく愛に溢れた心の部分があると想定するのです。そして、その部分から今の自分を丸ごと受け止めてあげることです。

もうすでに、あなたは何度も何度も苦しみぬいてきたのですから。もう疲れ果ててどうすることもできなくなって、うずくまっている自分に、やさしい太陽の光を投げかけてあげることです。

そうしたイメージを少しずつ繰り返していくことで、何であれ受け止める心の部分が育っていくはずです。そして、いずれはそれはあなたの心の内にあるのではないと気づくことになります。

受け止めることは、無思考だからです。そうなったら、もう自分を改善するために矯正しなければという気持ちが消えてしまうでしょう。

人はそうやって救われるのですね。