マインドとの同化

私たちは、誰もが何者でもない状態で生まれてきて、しばらくすると自分と身体を同化するようになっていくのです。つまり、自分はこの身体なのだと思い込むということです。

生まれてすぐに個人となるのではなく、この身体との同化を起点として、一人の人間として生きていくことが開始されるのです。

そうして、その次には気づかぬうちに自分のマインドとの同化が起きてきます。自分のマインドこそ、自分自身である、自分の中心なのだという同化です。

そして、意外かもしれませんが、どちらとの同化がより強力かと言えば、それは間違いなくマインドとの同化なのです。最近、それを身を持って経験しました。

いつものように瞑想していると、ふと鏡に中に映った自分の姿が自分の中心からかなり離れた場所に移動したように感じたのです。

その時、まだまだマインドは自分の中心に位置していたのですが、どういうわけか自分の身体をベースとした自己イメージ(自分の外見)が、自分の周辺の方へと遠ざかったのです。

これはちょっとした驚きでした。普段、あまり鏡に映った自分の姿を見ることがないので、自分の外見が意識に上ることも少なくなっているのですが、まさかこのような感覚になるとは思ってもみませんでした。

勿論、目を開けてしまえばすぐに元の状態へと戻るのですが、目をつぶってしばらくするとその感覚はやってきます。やはり、一番面倒なのはマインドなのですね。

マインドはクセモノです。それも相当な。マインドの中に「私」という存在がいるのかどうか、いくら探しても見つからないのに、それでも「私」はマインドの主のような位置にいるのです。

もしもマインドとの同化を見出して、身体と同様にそのマインドが自分の中心から周辺へと移動することが起きたなら、きっと本当の自己が、何とも同化することのない真実の自己が見つかるはずです。

そして、見つかる寸前に視点が変化して、それこそが自己の本質であると気づくのでしょうね。