感情と対面する

みなさんは、こういう経験をしたことはないですか?普段は黙って隠しているのに、その時には自分の本当の気持ちや想いを相手に言おうとしたら、冷静さを欠いてしまったということ。

ごく普通に穏やかに伝えたかったはずなのに、本音の言葉とともに隠していた感情、例えば怒りや悲しみが出てきてしまって、うまく伝えることができなくなってしまったという体験。

そのようになってしまう原因は、本当に言いたい言葉、相手にぶつけたい本音とそれに関連した感情の両方を、セットで抑圧しているからなのです。

自分にとって都合の悪い思い、言葉や気持ち、それにリンクされた感情というのはいつもセットになっています。だから、抑圧するときには片方というわけにはいかないのです。

そのために、言葉などの片方だけを表面化しようとすれば、私も出して欲しいとばかりに、感情も出て来てしまうというわけですね。これはごく当たり前の現象なのです。

ところが、あまりにも感情の方だけが耐え難かったり、命の危険があるような場合には、違った状態になることも例外的にはあり得るのです。

10年以上も前のことですが、セッションで子供の頃のことを思い出したあるクライアントさんが、自分でもびっくりしてこんなことがあったとお話ししてくれたことがありました。

それは、夜寝る前に布団の中で両親がどうやったら死ぬんだろう?ということを毎晩のように冷静に考えていたというショッキングな内容でした。

当時の本人は、そのことを不思議とも何とも思っていなかったというのです。それこそ、思考と感情が完全に分離された状態だったのですね。

つまり、殺意のような激しい怒りの感情を親に対して持っていると知ることは、子供にとっては過酷過ぎることだったのです。それは生きていくことを難しくしてしまうことだからです。

だから、感情だけを抑圧してしまったということです。催眠のセッションにおいても、過去に抑圧してあった本音(言葉)だけが出て来て、感情が抑圧されたままになるということがあるのです。

どれだけ感情を厳密に封印してしまったかが伺い知れるというものです。本当に人の心というものは不思議なものですね。

私の経験では、言葉だけであったとしても一度でもそれが表に出て来てくれさえすれば、後は感情が出て来るのは時間の問題だということです。

ひたすら隠してきた感情と対面することは、それは辛いことなのでしょうね。けれどもそうした場面は、表現は変かもしれませんが、本当に美しい姿なのですよ!

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