階段の1段目でウロウロ

垂直に立っている10段の階段があると思って下さい。その階段に上がる前の段階が動物だとすると、その階段を上りきったところが神の領域なのです。

階段の下にはあらゆる動物、あらゆる植物などがウヨウヨいます。ここは、100%無意識のエリアなのです。

動物は、少しばかりの思考とか、感情、気分などを持ってはいますが、いかんせん完全なる無意識状態なので、どんな心理的苦しみもありません。

そして私たち人間のほとんどは、その階段の1段目のところでウロウロしている状態なのです。ウロウロという意味は、上りもせずに下がりもせずの状態にいるということです。

そこにいて、何百万年も中途半端な存在として生きているわけです。非常に優れた才能を持った人であれ、とんでもない犯罪者であれ、1段目にいるのです。

ノーベル賞を受賞するような人物であろうと、寝たきり老人であろうと、どこかの国の大統領であろうと引きこもりの青年であろうと同じ1段目です。

いやいや、徳を積んだ自分は5段目くらいまでいっているはず、そう思うのは勝手ですが、残念ながらそんなあなたでも間違いなく1段目です。

実は、階段の途中で止まっていられるのは、1段目だけなのです。だから5段目とか、6段目で頑張っているなんて人はいないのです。

どういうわけか、その階段の2段目を上り始めたら、あっという間に10段目まで行ってしまうのです。それが階段の法則なのです。

だから自分はあの人よりも劣っているとか、自分の価値を見出せないと思ったりして、人と自分を比べることほど無意味なことはありません。みんな仲良く1段目で一緒です。

1段目にいると表現したのは、私たちのマインドの1割だけが意識的だからです。残りの9割は無意識的なので、ほとんど動物と同じレベルにあるのです。

そして意識の部分が増え出すと、つまり階段を登り始めると、そのこと自体が上昇を後押ししてくれるのであっという間に階段を上がっていけるというわけです。

10段目は、すべての無意識が失せて意識だけの純粋な状態になるのです。そしてこれまた残念なことに、階段を登るための直接的な方法というものはありません。

つまり努力の成果として階段を上がることは不可能だということ。私たちにできることは、ただ神によって階段を引き上げてもらうための準備だけを整えておくということです。

それこそが瞑想であり、できるだけいつも意識的に過ごすようにするということなのです。