エゴの愛憎劇

私たちは、時々愛と憎しみがあっという間に入れ替わってしまう様を見ることがあります。あれほど愛していたはずなのに、一瞬にしてその気持ちが憎しみへと変化するのです。

しかも、その愛が深ければ深いほど、憎しみに反転したときの憎悪も強くなるということも知っていますね。そんなことが一人のマインドの中であり得るのだろうかと疑ってしまうほどです。

けれども、これは原理的には当然のことなのです。愛憎という言葉があるように、愛と憎しみとは一つのコインの表と裏のような関係であり、どちらかが単独で存在するということは不可能なのです。

勿論、そのコインの表だけを見て人生が終わることもあるかもしれませんが、それでも反対側には決してなくならない裏があるのです。エゴはそのことに気づきにくいために、ひっくり返り現象に納得できないだけです。

これが二元性の世界の法則です。特に、「私が」あなたをこれほど愛しているのに、という場合には、その愛はエゴのものであるため、それが憎しみに変化するのは明らかです。

エゴは二元性の世界でのみ生きることができるのですから。エゴは真の愛を決して知ることができません。知ったとき、エゴは消えて無くなっているからです。逆に言えば、エゴが消えているときを真の愛と呼ぶのです。

私自身は、この愛憎劇の中でもがき苦しんでいるエゴのことが嫌いではありません。そこに一生懸命さがあれば、救われますね。

それは報われるということではなくて、深い気づきがやってきた折に、その劇を笑って見ることができるはずと分かるからです。

 

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