この自分という意識が、それ自身に対して意識を向けることを続けていると、何ともいえない奥の深みにまで入っていくような感じがしてきます。
その時には、普段これが自分だと思っている自分の意識とは程遠い、無限の広がりを持った意識であるということに気づくことができます。
これはできれば、目をつぶってやってみるとよりうまく行くかもしれません。そして、その深みまで降りていくと、そこではこれが自分だと日頃思っているような過去からの連続体である自己が消えてしまいます。
それは単に自己イメージがなくなってしまうだけではなくて、過去そのものからも切り離されてしまうということかもしれません。
その感覚が明確になればなるほど、自分は何者でもない無限の純粋な意識だと気づくことができます。でもそれが、深い瞑想状態と言えるかどうかは分かりません。
それほどのものではないような気もします。なぜなら、すぐにいつもの自分に戻ることができるとわかっているからです。
だから、どこか変なところに自分の意識が行ってしまって、少々怖いといったようなことにはならないのです。逆に、静寂に包まれたとても穏やかな意識の状態になります。
どこかで自分はそのことを知っていたというような懐かしさも感じているかもしれません。その深みの状態のまま、目を開けて自己イメージの自分を見てあげることさえできます。
そうすると、そこではいつもの自分が何かを思考したり、感じたり、せわしなく活動しているのが手に取るように分かります。
でもそれを殊更何とかしようという気持ちになるわけでもなく、ただそのままを受け止めているのです。この状態は、自分に対してだけでなく、他人に対してもとても優しい眼差しを向けられるようです。
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