自己表現の抑制

以前からこのブログでは何度となくお伝えしていることですが、自己表現(感情表現も含めて)を抑える4つの要素があるというお話しをしてきました。

それは、恐怖と、罪悪感と、可哀想という気持ち、そして理屈です。この4つが基本であり、それらを複数同時に使って抑制する場合もあります。

そして今回それにもう一つの方法を追加してお伝えするのですが、これは要素というよりも本当に方法とか方策と呼んだ方がいいものです。

それは、表現するネタを一瞬にして忘れさせるというものです。これは、自己表現を抑制するための最終手段とも言えると思います。

上記した4つの要素というのは、心理的にはそれなりになるほどと頷けるものですが、この方法はとても強引というか、なりふり構わないやり方であると感じます。

本人がどう思おうがそんなことはお構いなしに、とにかくこれ以上直接的なやり方はないと言ってもいいくらい、露骨な方法なわけです。

本人の感覚としては、いきなり頭の中が真っ白になったような、今まで持っていた材料が突然消え失せてしまったように感じるはずです。

例えば、あがり症の生徒が先生に急に指されて、質問に答えるように促されたような場合に、何も考えられなくなってそのまま口から何も発せずに押し黙ってしまうということがあります。

他の生徒からすると、なぜ何も言わないのか不思議に感じるかもしれませんが、本人としては頭の中がパニックになってしまったようで、思考が正常に働かなくなってしまうのです。

こうした事態になるのは、何も言わずに自己表現をストップすることで、自分を守ろうとする自己防衛のメカニズムが働くからです。

自己表現を徹底的に妨害しなければならないという、凝り固まった強い意識が本人の心の中に出来上がった結果であるわけです。

このような、理性を直接コントロールするような自己表現の抑制に対しては、繰り返してそうした自己防衛をしなければならなかった幼い頃をつぶさに見つめることが必要です。

かならずその理由を見出して、そのことによって蓄積してきた自己犠牲についてもそれを正面から見つめて、感情を開放していくことがとても大切だと思います。