誰もが自分とはこういう人間だという人物像なるものを持っています。それは、生まれてから今に至るまでに自分が経験したあらゆる事柄を積み重ねた結果とも言えます。
幼いときに親から沢山の愛をもらったと感じていても、その逆に十分には受け止めてもらえなかったという悲しみを持っていても、どちらにしてもそういう体験を自分自身と同一視してきたのです。
こんな学校に通って、こうした友達がいて、こんなふうに生活してきたという過去のすべての体験を、自分自身と同一視してしまったのです。
その結果、現在にいたるまでに自分という人物とはこういうものだという自己イメージを作ることになったのです。そのことを一般的に自分のアイデンティティと言いますね。
つまり、Identity(アイデンティティ)とは、Identify(同一視する)から来ている言葉なのです。そうやって、出来上がった自己像、自己イメージと本当の自分とを更に同一視することで、自分が人生の主役だと思うようになるのです。
ということは、裏をかえせば本当の自分はそうした同一視することになった偽者(イメージ)の自分とは全く違うということを意味します。
これは、とんでもないことをお話ししているということに気づいていただけるでしょうか?このことに気づくことこそ、私たちが生まれてきた目的であると思えるようになりました。
私たちの本当の本当の存在とは、今自分とはこういう人物だと信じているものとは根本的に異なるということです。
にわかには信じることができなくても当たり前かもしれませんが、心を静かにしてこのことを感じてみれば、いずれは誰にでも気づくことができることです。
本当のあなたには、名前はおろか、年齢や性別も、そして国籍すらありません。物心ついたときから今日まで、ずっと本当の自分は変わらずに自分の背後に居続けていたのです。
その本当の自分の意識に気づくことができたら、人は人生を根本的に違った見方で生きていくことができるようになります。
それはとても心安らかな、何ともすばらしい毎日になるはずです。物理的には何も変わってはいないのに、自分が誰なのかを知ることによって自分もこの世界もすっかり変わってしまいます。
このことに気づきつつある人が私の周りに沢山いますし、それは日本、あるいは広く世界中でまさに今起きつつあることなのだと確信しています。