二種類の思考について

私たちはいつも思考と一緒にいます。起きて活動しているときに、思考を使わずにいるという経験をすることは、一般的には稀なことですね。

その馴染み深い思考を、これから大胆に二つの種類に分類してしまいます。一つは、その瞬間瞬間に物事を進めていくための機能を司る思考です。

そしてもう一つが、まさに考えるという類の思考です。前者の思考との一番の違いは、その思考を使って考えている自分がいるという点です。

機能を司るための思考とは、たとえば歩くという行為、クルマを運転するという動作、コップで水を飲む、洗い物をするなどです。

この思考は、ただただ機能することにのみ主眼があって、それ以外の目的を持っていません。だからと言って、感情を発生させないわけでもないのです。

何かを機能的に働かせるために、それを妨害されるようなことがあったら、怒りという感情を用いてその場を解決しようとするかもしれません。

けれども後者の思考のように、いつまでもその怒りを持ち続けたり、起きたことに執着するということもありません。なぜなら、機能することが唯一の目的だからです。

逆に後者の考えるという思考は、その中心に自分がいるためにその思考の多くは、自己防衛のために使われてしまうのが実情です。

したがって、その思考のほとんどが過去と未来へと向けられるわけです。繰り返しになりますが、機能を司る思考は今この瞬間に向いているのですが、考える思考は過去と未来にのみ関心があるのです。

つまり、機能する思考の割合が多くなればなるほど、そして考える思考が少なくなればなるほど、より機能的に生きることができるようになり、よりシンプルな生き方ができるようにもなるということです。