「今この瞬間」を直接体験する

「今」という言葉に対して、誰もが連想するのは「時間」についてのことだと思います。昨日、今日、明日のような言葉と同じように、時間に関連した意味合いがあると思っているのです。

それは勿論間違いではありませんが、このブログでいつも書いている「今」とか、「今この瞬間」といったときには、それは時間とは何の関係もないのです。

時間というものは、思考が作り出したものであって、決して真実ではありません。一方、「今」というのは、この世のものではありません。それは、知覚することができないものです。

知覚できないものを、思考で捉えることは不可能です。つまり、「今この瞬間」とは思考を越えたものだということです。「今」とは、この世界を世界たらしめているバックボーンのようなものです。

こうして改めて書いてみると、「今」とは本当に不思議なものですね。「今」に気づいている人は、この世界を観照することのできる人だと言えます。

「今」は、物語の中には決して出てこないのです。私たちの人生も一つの物語ですので、そこには、つまり物語を観る目には、「今」を見つけることができないのです。

物語は時間とお友達であり、時間と共に推移していくのです。だからこそ、私たちは時間の中で生きているように感じているのです。

けれども一方で、「今」という真実の中に、物語を含めたこの宇宙が丸ごとすっぽりと受容されてしまっています。「今この瞬間」とは、全体性のことです。

なるべくなら、「今この瞬間」に意識を向けていることです。意識を向けるとは、注意を向けている状態とも言えますね。その時に、注意を向けている誰かがいるわけではないということにも気づきます。

それは、「今この瞬間」を直接体験しているのです。ここに、思考の入ってくる余地はありません。だからこそ、とても深淵で清々しいのですね。