いつかは終わることを喜ぶ

40歳を越えてしばらく経ったころに、近くのものが見えづらくなって、気が付いたら老眼の始まりでした。あの時はびっくりしました。自分の身にも、老化が確実にやってくるんだなと驚いたのです。

そして、今となっては体力の低下や皮膚の老化、記憶力が落ちたり細かな作業が苦手になったりと、あらゆる分野において加齢からくる自分の変化に気づかされます。

アンチエージングという言葉があるように、誰にでも確実にやってくる老化について、私たちはあまり快く思っていないのです。女性は特にそうかもしれませんね。

けれども、どれほど抵抗したところでいずれは老いて、そして死んでいく運命にあるのです。健康を保つ努力をすることと、老化防止は似ているようで違いがあります。

加齢を止めようとするよりも、その年齢に見合った健康を維持しようとする方が、自然体でいられるような気がしますね。女性の場合であってもです。

例えば、顔のしわを目の敵にするよりも、しわを一つの味わいにしてしまえばいいのです。若々しさを維持しようとするあまりに、無機質な表情になってしまうのなら、それは人生と戦っていることになってしまいます。

今日、自分の身体や心に何が起きたとしても、それと戦おうとするのではなくて、それをそのままに受け入れることです。それが人生を友達につける唯一の方法なのです。

そして、もしもあなたが一度でも自分の本質に気づく体験をしたのなら、老いていくこととも戦わなくなっていくはずです。変化を容認するようになるということです。

なぜなら、あなたの本質は変化とは無縁だからです。この視点から見ることができるなら、人物としての自分が老いていくことは喜ばしいことでもあると気づくはずです。

いつまでも続く映画など、誰もお金を払って観に行ったりしないのと同じように、いつかは終わることを前提にすべてが推移しているのです。

私たちの肉体もそのルールの中にあるのですから、いつかは終わりを迎えることを心から喜んで受け入れることができたらいいですね。