どの国の子供もみんな愛しい

クライアントさんの中には、たまに日本語が母国語ではない方もいらっしゃいます。カウンセリングだけでしたら、日本語の分かる方であれば、どの国の方であろうと当然問題はありません。

けれども、催眠のセッションで年齢退行をしようという場合、幼いころのご本人はまだ日本語を知りませんので、うまく日本語でのセッションができないのではないかと危惧されるかもしれません。

こうした心配はご尤もだと思いますが、実際にはまったくといっていいくらいに問題ありません。というのも、催眠療法においては、大人のご本人の意識が普通にあるからです。

催眠状態、つまり変性意識状態では、表面意識がなくなるということは普通ありません。ごくたまに、大人の自分の意識が休止してしまう場合もありますが、それは例外的なことです。

したがって、年齢退行した場合には、大人の意識と子供の時のそれとが同時並行的に表れている状態となるのが一般的なのです。

つまり、セラピストの働きかけに対しては、クライアントさんの大人の意識が受け取り、それを子供の意識へと通訳するのです。だから、子供の頃のご本人は日本語で話すことができるのです。

そして、そもそも年齢退行の中で本当に大切なことは、子供の頃の感情から逃げずにそれをしっかりと味わって感じてあげることですので、その場合には言葉は不要となるのです。

感情を味わうときには、言葉(思考)が同居しない方が圧倒的に効果がありますので、むしろネイティブではない方が有利ということもあるかもしれません。

かえって、日本人の方の場合に地方で生まれ育った場合、セラピストは退行した際の子供の方言や単語が分からないということがあるくらいです。

日本人同士ということで、通訳しなくても伝わるはずという思い込みがあるのだと思います。私は、クライアントさんの幼いころの方言を聞くのは、決して嫌いではありませんが…。

年齢退行のセッションで、クライアントさんの子供の頃の意識と出会うことができるのは、私にとってとても大きな喜びでもあるのです。みんな、愛しいですよ!