全体の中に溶けゆく

人と一緒にいることがそれほど苦にならないようであれば、みんなで和気あいあいとできれば、それはとても気持ちいいものですね。

連帯感とか、一体感といったものを感じられるからでしょう。暴走族が一部の若者にとって魅力的なのも同じ理由です。

あるいは、一つの劇や映画をみんなで力を合わせて製作することなども、一体感を感じられるので病みつきになるのかもしれません。

この一体感が好きなのは、自我のせめてもの疑似体験なのです。自我として分離して在るという妄想の世界は、本当はとても惨めなのです。

真実はすべてが一つものであるのに、そのことを忘れて自我として生活しているのですから、他人と時空や気持ちを共有することで代用しているわけです。

自我というのはなぜ根本的な不安や孤独を持っているかというのも、これと全く同じ理由なのです。

何かと一体になったら、つまり自我が全体の中に溶けていくなら、間違いなく至福を感じることになるでしょうね。