聞いた話ですが、人間はこの三千年の間に、実に一万五千もの戦争をしてきたらしいです。どう考えても尋常ではないですね。
でもそれが人類の偽らざる姿だということです。なぜ戦争が続くのか、その理由を一番根元のところまで堀り下げていくと、それは死ぬことの恐怖があるからだと分かります。
私たちは、生まれてからずっと死ぬことを恐れているのです。その恐怖を何とか誤魔化そうとして、心理的な自己防衛が始まるのです。
何としても自分を守って安心したい、そうすれば死の恐怖が遠のくとどこかで思っているのです。自分が生き延びるためには、他人を犠牲にしても仕方がないと思わすくらいに、死の恐怖は絶大なのです。
ところで、数千年の間にあちこちで顕われた神秘家と言われる人たちは、異口同音に我々の本質に死はないと伝えてくれています。
その真実を体験することができたなら、つまり自分の本質は死なないし、他人の本質も同様に死ぬことはないと真に気づくなら、人類はどうなるのか?
それは勿論、恐怖の根源が消滅してしまうのですから、各自がずっとやり続けてきた自己防衛が不要となって、誰もが無防備な生き方をするようになるということです。
自分が死ぬと信じているからこそ、相手を殺すということが意味を持つのですから、当然の結果として死なない相手と闘う意味がなくなってしまうのです。
そうなったときに初めて、人類から戦争というあさましい出来事が消えて行くのでしょうね。それ以外のどんな手立ても、これまでのところ戦争をやめさせることに失敗してきたのですから。
経済の動向も気がかりではありますが、一人ひとりが真実に気づくようになること以上に大切なことなど、一つもないのだろうと思うのです。
この先、人類が救われるためには、それ以外の手立てはないのかもしれませんね。