「奇跡のコース」には、この世は幻想、つまり夢のようなものであり、いずれは誰もが、一人残らずその夢から醒めて神のもとへ帰ることになると書いてあります。
そして、神のもとへ帰る前には、この現実という夢が、辛い夢から幸せな夢へと変化することになるとも言っています。
これを読むと、何となく救われたような気持ちになりますが、辛い夢が幸せな夢に変わるというのは、実際どういうことなのでしょうか?
人生には楽しいことや嬉しいことばかりではなくて、辛い経験をしたり、苦しい現実がやってきて苦悩させられることだってありますね。
あるいは、人生そのものを悲観して、なんで自分ばかり理不尽な思いをさせられるのかと、神を恨んでいる人も大勢いるかもしれません。
悪夢が幸せな夢に変わると、たとえば病気が治ったり、宝くじに当たったり、好きな人と結ばれたりといった、いわゆる幸運の女神がやってきたような出来事ばかりが続くことになるのでしょうか?
残念ながらそうではありません。幸せな夢に変わったとしても、最愛の人を失うことだってあるだろうし、事業に失敗して絶望的になることもあるかもしれません。
つまり、自分にとって都合のいいことばかりが起こるようになるのではなく、依然として災難に遭遇することもあるのです。
本質的には、人生に起きることががらっと変わってしまうなどということではないのです。幸せな夢の正体とは、この現実が夢のようなものであるということへの信頼が深まるということです。
そして、本当の自分はその夢の中の単なる登場人物ではなく、人生という物語を観照する純粋な意識であるということに目覚めながら生きるということなのです。