自分のことで手一杯な人生にゆとりを持つには?

人は誰でも、3歳くらいから自我が芽生えてきます。そして、気づいたときには、もうすでに自分の人生の中心にドシっと腰を据えた自分を発見することになります。

その自分は、自分自身で守ってあげなければ、とてもじゃないけれど危険過ぎて、毎日をどう生き延びて行けばいいのか分からないのです。

自分以外の誰かに対して、愛を与えるような心の余裕など残ってはいないのです。つまり、自分のことだけで手一杯だということです。

自分を助けることで精一杯なので、他の人のことをケアするエネルギーなど残っていないという状態で生きるのです。

それは子供のときだけではなくて、大人になっても、そして親の立場になったとしても基本的には変わることがありません。

例えば、母親というのは我が子に対して無償の愛を持って接するはずと、誰もが思いたいわけですが、実際にはそう理想的にはいきません。

仮に過保護で過干渉な母親がいたとして、充分に子供に対してエネルギーを使っているように見えて、実は自分を守るための作戦でしかないのです。

子供の世話を必要以上にするのは、母親自身がそれで安心したいという心の現われなのです。それは、結局は自分のことで手一杯だということなのです。

そういう親は、大抵が心にゆとりがないので、子供の言葉や話しを聞こうとせずに、自分の正しさや子供の否定的な部分ばかりを主張することになります。

これでは、子供は自分を受け止めてもらえたという安心感を得ることができません。それは、自分の存在価値を感じることができずに大人になることを意味します。

そうやって、自分のことで手一杯だという人生が世代を超えて伝播していくことになるのです。これは本当にどこかでその連鎖を断ち切る必要があります。

幼いころに真正面から自分を受け止めてはもらえなかったという、見るに耐えない自分の惨めさから、目を背けない練習をすることです。

そうして初めて、隠されていた否定的な自己を受け入れることができるようになってきます。そうなると、自分のことで手一杯であった人生にゆとりができるはずです。

その心のゆとりが、必ず自分の心から家族や他の人の心へと伝播していくことになるのです。この世界を救うためには、一人ひとりがまずそうやって、自分の心を救うことから始めることが必要なのですね。