あなたの中心に「私」はいない

あなたが持っている自己イメージというのは、他人という歪んだ鏡を通して反射した自分の姿から出来上がっているのだということは、何度かお伝えしましたね。

そして、その間違った自己イメージを統括しようとの試みによって、でっち上げられたのが「私」(エゴ)というわけです。つまり、「私」というエゴは実は人との関係性の中でのみ生きることができるのです。

あなたという存在のまさに中心に「私」がいると思っているかもしれませんが、それは真っ赤なウソだったということになりますね。

あなたの本当の中心には、「私」はいないのです。「私」の唯一の居場所とは、自分以外の誰かとの関係の中にしかないということです。

だから、もしもあなたが長年無人島でまったく一人で暮らし続けるとしたら、そのうちにはあなたの中の「私」は薄れて行って、終いには息絶えることになるでしょうね。

理屈的にはそうなのですが、ところがその「私」とは非常にしぶといのです。何十年にもわたって、独りでヒマラヤで修行をして、有名になった行者がいたのですが、彼は自分のマインドに一点の曇りもなくなったと思ったらしいのです。

それで、下界に降りて来て、人々に教えを説いて欲しいと誰かに頼まれて、いざ下界に降りた途端に彼の中の眠っていた「私」が復活して、ただの怒れる人に戻ってしまったという話しを聞いたことがあります。

そのくらい、「私」が完全に落ちることは難しいことなのですね。独りで過ごしているときに、一時的に「私」が落ちる経験をするよりも、他人との関わりの中にいるときに、それが起きる方が難しいというのもうなずけます。

あなたの中の「私」が、どのような状態にあるのかを知るためにも、あなたは人と関わっていく必要があるということです。

そして繰り返しになりますが、「私」があなたの中心にあるわけではないということを、忘れないことです。あなたの真の中心は、空なのですから。

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