観照することで人生は面白くなる

私が初めて映画館で洋画を観たのは、確か「007」というスパイものでした。ショーン・コネリー扮するジェームズ・ボンドという国家諜報部員が悪の権化と闘うというものでした。

子供心に、特別に改造されたアストン・マーチン(イギリスの高級車)を操ったり、すばらしく綺麗なお姉さんたちと仲良くしたりと、観ていてとてもワクワクさせられたものです。

その頃から映画が好きになり、主には高校生になって、しょっちゅう銀座まで映画を観に行くようになりました。お金がないので、ロードショーはたまにしか観れませんでしたが…。

きっと多くの人が映画鑑賞が好きでしょうし、嫌いという人の方が珍しいのかもしれません。テレビにしても、人は物語を観たり聞いたりするのが本当に好きなのですね。

勿論、本で物語を読むこともそれに含まれます。物語というのは、フィクションであろうとノンフィクションであろうと、自分がその物語の中にいないという安心感で観るものです。

だからこそ、大いに泣いたり笑ったり腹を立てたりして、感動したり、喜んでみたり、場合によっては恐怖映画で怖がったりして楽しむことができるのです。

物語を観たり聞いたり読んだりすることが娯楽として成立するのは、自分がその中にはいないということが前提です。

怖くて夜一人でトイレに行かれなくなっても、わざわざホラー映画を見に行くのは自分には実害がないからです。そこが人生と違うところです。

人生だって、物語であることには違いありません。その物語の中に自分がいるということだけが、映画やテレビの中のものと違うだけです。

けれども、人生の中で活躍している自分を観る側に意識を向け続けることができたら、そのときにはノンフィクション映画でも観るように、自分の人生を観照することができるのです。

その場合に限り、悲しい物語であろうと、感動ドラマであろうと、あるいは恐怖のストーリーであろうと、映画を楽しむのと同様にして、自分の人生を楽しむことができるということです。

それこそが、人生を本当に楽しむ唯一のやり方なのではないかと思うのです。みなさん、自分を日々観照してますか?