すべての事象は同時に起きている

私たちは、時間とともに過去の記憶というものがぼんやりしてくることを経験的に知っていますね。数十年も前のこととなると、一部の特別に印象深いことを別にすれば、徐々に忘れていくものです。

セッションで毎日のようにやっている催眠療法では、過去のことを思い出していただくのですが、それでもすっかり忘れていたことを思い出していただくということを期待しているわけではありません。

ほとんど思い出すこともなかったことだけれども、意識して思い出そうとすれば思い出せるような記憶を題材として使うのです。だからこそ、誰にでも無理なく受けていただけるのです。

けれども、催眠療法の中では時々、思い出したその場面をすごくリアルに見ることができる場合があるのです。それは、単に思い出すということを越えた体験であることを実際に経験した人なら分かるはずです。

それは、ある意味思い出しているというよりも、その時の体験を今また体験しているような感覚になるのです。たとえば、布団に寝かされている赤ちゃんの自分が、天井の木目の模様をみていたり。

その当時の部屋の様子を克明に見ることになったりするのです。場面の記憶は普通にあったとしても、詳しい壁の色や感触、あるいは何かの家具の匂いのようなものをリアルに感じてしまうのです。

それはまさしく、通常思い出す記憶とは違って、今この瞬間にそれを体験している自分がいるのです。それがインナーチャイルドなのです。

インナーチャイルドは、今この瞬間も彼らのその当時の人生をリアルに生きているのです。そんなバカなことがあるわけないと、思われても仕方ありません。

けれども、数えきれないセッションを通して分かることは、時間は思考を通して作られたものであって、実はすべての事象が同時に起きているということです。

だからこそ、何十年も前のことであっても、それを癒すことで今この瞬間の自分が癒されるわけです。私たちが理解しているように時が隔てられているのでしたら、そうしたことが起こることの説明がつきません。

あなたの人生における過去のすべての事象は、今この瞬間に同時に起きているのです。本当は未来もです。時間と空間という思考の産物を越えたとき、すべてはきっと明らかになるのでしょうね。