個が消滅すると空間もなくなる

あなたが夢の中で、怖いモノに追われて、どれほど早く走って逃げたとしても、その夢を見ている本当のあなたは1ミリも動いてはいませんね。

夢の中で仮に壮大な宇宙旅行をして戻ってきたとしても、本当のあなたはずっと暖かなベッドの中で眠りこけていただけです。あなたはどこへも出かけてはいませんでしたね。

それと同じように、この世界でたとえあなたが地球の裏側の密林へ行ったとしても、あなたの本質は1ミリも移動しないし、何の影響も受けることはないのです。

あなたという本質は、常にここにあり続け、どこへも行くことはできません。この宇宙の隅々、あるいはこの宇宙の外側までも、すべてがあなたの本質である純粋な意識そのものなのです。

もしも、あなたが登山の途中で不運にも遭難して、寒さと空腹に苦しむことになったとしても、本質はそれをも貫いてただ在り続けています。

しかも、この世界のどこで何が起ころうと、本質との距離はゼロなのです。それは完全に本質と密着しています。本質には、距離という概念がありません。

どんなすばらしい景色のところに旅行に行こうと、それがどれほどすばらしい感動を与えようと、何も変わらずに在るもの、それこそがあなたの本質です。

私は、あまりにも壮大な景観を目の前にすると、まったく遠近感がおかしくなってしまうことがありました。みなさんにも似たような体験があるのではないでしょうか?

今思い出してみると、あの感覚はきっと個人としての自分が小さくなって消滅したかのようになったときだったのでしょう。自分との比較ができなくなったために、距離が消滅したのです。

あの体験は、小さな個人としての自分の外側に広がった世界を見ているのではなく、本質としての自己そのものを距離ゼロで見ていたのだと思います。

個人としての局所性が消えたとき、空間とはまやかしだったということを発見できます。あなたの本質である全体性にまた意識を向けて見て下さい。そのことに気づくかもしれません。