全的な意識状態

以前にも何度かお話ししたことがあったと思うのですが、私は幼いころに三輪車で遊んでいるときに、家の脇を流れていたそれなりに大きい川(石神井川)に落ちたことがありました。

近所の友達と一緒に三輪車に跨っていたところ、突然正面に見える景色が遠ざかり出したのです。川に背を向けていたところ、そこが斜面だったせいで気づかぬうちに後ろ向きに川へ向かって滑り出したのです。

私は、景色が遠ざかるさまが面白かったので、少し笑っていたのを覚えています。その直後に、突然景色の角度が変わって、川の中へと真っ逆さまに落ちていったのです。

その時、すべてがスローモーションのような動きをしていたように感じたのをはっきりと覚えています。きっと、絶対的な危機的状況に瀕して、私の意識が全的に反応したのでしょうね。

どんな余分なことを考える暇もないくらいに、意識の全部を総動員してその危機に立ち向かおうとしていたのだろうと考えられます。そのために、知覚にまで変化が起きたのだと思うのです。

もしもあなたがライオンに近距離から襲われそうになったとしたら、きっと同じようなことが起きるはずです。あなたの意識は間違いなく全的になって、一丸となって事態をとらえようとするでしょう。

その時には、思考を使うことができなくなり、完全なる意識の統一が図られることになると思うのです。研ぎ澄まされた感覚においては、やはりスローモーションのように感じるのかもしれません。

そういった全的な意識であるときというのは、まさしくそれこそが無思考の状態であり、エゴが消え去って、意識下にある潜在意識や無意識なども総動員されることになるはずです。

それはある意味目覚めている状態、覚醒した状態に近いのかもしれません。葛藤や抑圧といったような意識の曖昧さなどは微塵もなくなり、統一された純粋な意識に近づくのでしょうね。

あの透明性のある意識状態を維持することこそが、光明を得るということなのも知れません。

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