自己表現の練習あるのみ

自己表現というのは、相手に向かってはっきりと「ノー!」と言うことです。「イエス!」は、自己表現のうちに入りません。なぜなら、そこにはどんな危険もないからです。

もしもあなたが、「ノー!」という自己表現が苦手だという自覚があるのでしたら、その理由にしっかりと気づいているかどうかが大切なのです。

自己表現を抑える本当の理由とは、自己防衛なのです。つまり、相手の気持ちを逆なでするようなことを言わないことにして、相手から否定されたり嫌われたりするリスクを回避しようとしているのです。

相手の期待に応え、相手の都合のいい自分を演出することで、見捨てられて惨めな自分にならないように、本当のことを言わずに相手に迎合しようと努力しているということです。

見捨てられる恐怖とは、幼い子供にしてみれば死の恐怖に匹敵するものですから、是が非でも自己表現をしないようにとしてしまうのです。

ところが、自己表現をしないことで一つの恐怖から逃れることはできるのですが、実はもう一つの恐怖を益々増やしてしまう結果となるのです。

それは、自分の自由が奪われて、相手に侵略されてしまうという恐怖です。「ノー!」とはっきり言えないということは、相手に屈服してしまうということになるからです。

そうなると、さらに他人の存在というものへの恐怖が大きくなってしまうのです。つまり、見捨てられる恐怖だけでなく、侵略される恐怖も加わってしまうからです。

自己防衛のつもりで自己表現を抑えたことが、実は防衛にはならずにさらに他人への恐怖を増大させる結果を招いてしまうということなのです。

自己表現が苦手であるなら、こうしたことにしっかりと目を向けて、少しずつでも自己表現ができるように練習することです。恐怖から逃げずに自分を訓練することです。

そうやって、徐々にですが他人への恐怖というものが薄れていくことになるのです。幼い頃ならともかく、大人になったあなたなら、必ず練習すればできるようになるはずです。

できてしまえば、なんでもないことだったと気づけるはずです。

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