癒しは問題解決志向ではない

精神的な癒しというものは、ある特定の問題に対して直接的に解決するようなものではありません。その反対に、それはいつでも間接的なものなのです。

だからご本人が、ある問題をできるだけ早くに解決したいと思っていても、どうもまどろっこしいやり方をするなという印象を持たれてしまうこともあるかもしれません。

例えば、不登校の子供がいるとします。この子供がとにかく他の子供たちと同じように、学校に行くようにすることを目的とするなら、それは直接的な解決を目指すということになりますね。

けれども、行けなかったものが行けるようになるとか、電車に乗れなかったものが乗れるようになる、というのはあくまでも表面的なことに過ぎないのです。

不登校の子供を持つ親としては、原因が何であれ、とにかく我が子が明日から学校に行ってくれるようになりさえすれば、それで一安心なのです。その気持ちはよく分かります。

でもその表面的なことが仮に解決したとしても、その奥にある本当の原因が分からなければ、早晩今度は別の何かの形で、問題が発生することになるのです。

したがって、まどろっこしいと感じるとしても、その問題だけに焦点を絞るような方法では、結局何も本当には解決しないし、何の大切な気づきもやってくることはないのです。

それは、木の末端にある葉っぱの色や形状を心配して、それを磨こうとするようなものです。直接的な効果がすぐに得られないとしても、その木の根っこの部分の不具合を見てあげなければならないのです。

癒しは問題解決志向ではありません。何か問題が起きたときには、焦らず慌てず、じっくりと腰を据えて心の根深い部分を見るチャンスだと捉えることです。

そして間違いなく、今まで自己防衛のために気づこうとしてこなかったことに気づける、ありがたい機会がやってきてくれたのだと認識することです。

セッションにいらっしゃって下さるどのクライアントさんに対しても、私は内心でこう思っています。「千載一隅のチャンスが来てますよ~、よかったですねえ!!」

だからそのチャンスを決して逃して欲しくないのです。

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