目的指向を見直す

誰もが気が付くと、目的指向になっています。何をするにも、それ自体のためにするのではなく、それ以外の何かの目的を達成するためなのです。

目的指向にはまると、大切な今この瞬間を未来のために犠牲にすることになるのです。なぜなら、目的や目標というのは、常に間違いなく未来にのみあるからです。

以前サラリーマンだったころ、とても待遇のいい企業にいたのですが、その分誰もが人一倍働いていたと思うのです。ある同僚の女性が言っていたことを思い出します。

彼女いわく、その日々のストレスを解消するために一年に1,2度大金を払って海外旅行に行くのだと。そしてその資金を溜めるためにも、また過酷な毎日と闘うというわけです。

一体どちらが手段でどちらが目的なのか、本当のところ分からなくなってしまっていたのかもしれません。私たちは、人生に明確な目的や目標を設定することはいいことだと教えられたのです。

何の目標もない、その日暮らしでは人としてダメだと習うのです。だから、まともな精神を持っている人は、誰だって人生に目標を作るようになり、それを目指して日々頑張るのが当り前になってしまったのです。

けれども、「何のために?」というのは、エゴの発想なのです。この社会を作ったのがエゴなのですから、このような刷り込みをされたのも当然なのですね。

こうした大そう正しそうに感じる社会や親の教えを、じっくり見直す必要があるのです。私たちは、どんな目標をクリアしたとしても、決して満たされることはないからです。

そればかりか、大切な今を台無しにしてしまっている可能性が大なのです。生を味わうことこそが、生を生きるということであって、それは過去でも未来でもなく、今この瞬間だけが生と共にいられる唯一のときなのです。

何かを始めると、すぐに目的や目標が出現します。あなたが何かをしていれば、「それ何のためにしてるの?」という問いが誰かからやってくるはずです。

そのとき、これ自体が目的なのだと答えられたら本当に素敵ですね。つまり、手段と目的が一致していることこそが、生を思い切り楽しむ方法だということです。

そして、手段と目的が分離した瞬間に、欲求が発生してしまい、それが私たちの苦悩の根源となるのです。あなたが今していることを、ただ楽しむことができるなら、それ以上に素晴らしいことはありませんね。