欲と執着は一心同体

先日大相撲の放送を見ていたら、解説の人がある力士についてコメントを述べている時に、この力士は「欲がない」というようなことを言っていたのです。

それでびっくりしたと同時に、相撲の力士にとって欲がないというのは致命傷なのではないかと反応したのです。

何が何でも勝ちたいという強い思いがあって初めて、過酷な格闘の世界で頭角を表すことができるわけなので。

勝ちにこだわる強い意志がなければ、すべての力を出しきるのは難しいのではないかと感じるわけです。

その力士の番付が何だったかは覚えていないのですが、そこそこ上の方の人だったように記憶しているのですが、欲がなくてもそこまで上がってきたのは、生まれながらの才能なのかもしれませんが。

この社会においては、「欲がない」というのはネガティブなこととして受け取られるのでしょうね。

働き盛りの人に欲がなければ、隠居の老人のような印象になってしまうかもしれません。これでは、社会で成功者にはなれないのです。

私自身、幼い頃から「欲がない」ということを言われてきた記憶があって、そのことにある種の自己否定的な感覚を持っていたのです。

ある程度の年齢になってからは、欲がないことは一概に悪いことだとも言えないという反論ができるようになって、楽になりました。

欲がないと、いわゆる成功者にはなれない可能性が大なのですが、その分執着心が小さいというメリットもあるということに気づいたからです。

今では、欲が小さくなればなるほどマインドのエネルギーも小さくなるということが分かっています。欲と執着は一心同体のようなものです。

世界でどれほど成功しても、マインド(エゴ)が強ければ、それだけ不満が大きいということも確かなことです。

それでも多くの人々にとっては、マインドの力を小さくするなどということには興味はないのでしょうね…。