水に落ちた犬は叩け

私たち人間が共通して持っている感覚として、弱いモノに手を差し伸べるということがあると思います。

ところが中国の諺に、「水に落ちた犬は叩け」というのがあるそうです。「川に落ちた犬は棒で叩け」とも言うらしいです。

要するに、「ライバルや強者が弱っている時がチャンスだから、徹底的に打ちのめせ」ということでしょうね。

確かに勝負に勝つということが目的であるなら、間違ってはいないのです。かつてオリンピックで日本の柔道の選手が足を怪我してる状態で試合に臨んだことがありました。

その時に、相手国の選手はそのことを知っていて、怪我の部分には攻撃をせずに試合を終えて、その結果日本の選手に負けたことがありました。

それをフェアプレイと呼ぶのかどうかは分かりません。逆に、プロレスの試合では相手の選手が怪我などで痛めている部分を、徹底的に攻撃するのが当たり前です。

もちろんプロレスは一種のショービジネスなので、観客が沸き上がればいいわけですから、勝負の世界とは違うのです。

ロシア軍がウクライナの小児科・産科病院などを無差別に攻撃するのは、最も弱い相手に攻撃をするという、溺れかけている犬の頭を棒で突ついて沈ませるのに似ています。

小学生の頃は、弱い者イジメが最も卑劣な行為だと信じていましたし、今もそれは全く変わってないと思います。

けれどもそれ以外の見方、つまり見守るという立場(意識)も同時にあることに気づくようになったのです。

それは非人道的な見方ということでは決してありません。人道的でも非人道的でもなく、ただ観照するという態度ですね。