自我は永久機関

自我にとっての不安というのは、孤独と共にその仕組みからして持たざるを得ないものだということを理解する必要があります。

それをいいことに、自我は闘う対象がなくなってしまった時に、その生来の不安を上手に利用するのです。

このことを理解するためには、自我はただそれのみで生きることができないモノであることも分かっておく必要があるのです。

別の言葉で言えば、自我は何かに従事していること、自分以外の何らかの対象との関わりを必要としているということです。

それが病気であれ貧困であれ、あるいはあらゆる苦しみや痛み、そういった対処すべき問題が必要なのです。

もしもあなたが全ての問題を解決してしまい、あらゆる欲望が叶って恵まれた人生を生きるなら、自我は困りだすのです。

そして必要とあらば、妄想の世界に入り込んでまで不安の原因を作り出すのです。それがどれほどの詐欺行為であれ、それは成功します。

なぜなら、前述した生来の不安を元々持っているからです。それを使えば、死ぬまで安泰でいられるのです。その不安が枯渇することはないからですね。

自我が持っている不安という自前資源は半永久的なものであり、それをうまく利用して自我は一種の永久機関として成立するということです。

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