自我とエントロピー

エントロピーという言葉をどこかで聞いたことがあるでしょうか?理系の学生さんなら誰もが知っていると思います。

「エントロピー増大の法則」というのがあるのですが、「物事は放っておくと乱雑・無秩序・複雑な方向に向かい、自発的に元に戻ることはない」とあります。

例えば庭をきれいに手入れした直後の状態、これは秩序があるのでエントロピーが低い状態であると言うことができます。

一方で、その庭の手入れをせずにずっと放置しておくと、雑草が生えたりして汚くなって乱雑になってくるのを予想できますね。

この無秩序の状態のことをエントロピーが高い状態と表現するのです。放っておけば、物事は必ずエントロピーが低い状態から高い状態へと推移するという法則です。

直感的に誰でも容易にイメージすることができますね。ただこの法則、実は私たち自我が選択するということと関連があるのです。

選ぶこととエントロピーにどのような関連があるというのでしょうか?自我とエントロピーの関連なんて、理系の学生さんでも聞いたことがないかもしれません。

熱々のコーヒーが入ったマグカップ。この状態はエントロピーが低いのです。それを放置すれば、コーヒーは冷めて室温と同じになってしまいますね。

そうやってエントロピーが高くなるのですが、これは確率の問題でしかなく、実は自我が非常に確率の低い特殊な状況を選別しているのです。

秩序があるかないかというのは、自我による選択なのです。自然界には秩序という概念は存在しません。

時間が無限に続くのであれば、冷めたコーヒーがある瞬間にまた熱々の状態になることもあり得るということです。

現実には有限の時間内にこの宇宙は消滅してしまうので、そういうことは残念ながら起こらないのです。

自我だけが持つ秩序という概念が、無秩序との違いを見分ける、つまり選択的に見てしまうということ。

もしもあなたが無選択でこの世界を見たなら、エントロピーは単なる確率の問題ということになるのでしょうね。