私たちの自我にとって難しいと感じることの一つは、自分を解放するということです。自分を解放すると聞くと、ちょっといい感じがするのになぜそれが難題となっているのか?
それは、自我が自分を解放してしまえば、自然と溶けて消えていくことになると知っているからです。
だからこそその反対である、自分を締め付け、抑圧することを得意としているのです。不自由にさせることで、自我は苦しいけれど生きていくことに関しては安泰なのです。
ここに自我の大きなそして決定的な矛盾があるわけです。自我は矛盾だらけなのです。満ち足りたいと願っているのに、満ち足りたなら消えてしまうのです。
苦しみたくない、安心したいと思っているのに、それが実現してしまったなら生きる力を奪われてしまうのです。
天国に住みたいと思っていても、いざ天国に行くことになったとしたら、生きるエネルギーを失って、勝手に失速してしまうはずなのです。
もう分かっていただけたと思いますが、自我とは自己矛盾の中でそれを誤魔化しながら生きているのです。なかなか辛いものがありますね。
このことをしっかり理解することができると、自我と上手に付き合っていくことができるのです。自我は悪者ではありません。
ただし、自我が自分自身なのだと100%信じてしまうと、もう救いがありません。自我の本性を知って、それをうまく逆手に取ることです。
誰の自我であろうと、それを深く理解することができると、それはそれで可愛いものだと思えるようになるでしょうね。