人には本当のことが言えなくなる瞬間がある

自分が幼稚園に通っている頃の話です。よく遊ぶ男の子の友達がいたのですが、彼は確か私が持っていない何か(たとえばおもちゃなど)を持っていると言ったのでしょうね。

私はそれがどうしても見たくて、彼にそれを明日持ってきてくれる?と頼んだところ、彼は気軽に「いいよ」と。

そして次の日の朝一番で、あれ持ってきてくれた?と聞くと、彼は「今日は忘れた」と言ったのです。な〜んだ、楽しみにしていたのに残念。

じゃあ、明日は必ず持ってきてねと念を押してその日は終わったのです。そして次の日もまた次の日も、毎朝同じように「あれ持ってきた?」と聞くと、「忘れた」と。

そんな日が続いたある朝、彼と一緒に彼のお母さんが幼稚園にやってきて、私に「◯◯は持ってこれないの」と。

その瞬間に、幼い私は無邪気にただ持って来て欲しいと願っていただけなのに、何やら彼に迷惑をかけていたのかもと気づいたのです。

その友達は、気軽に持ってきてもいいよと言ったものの、家に帰って何かの理由で持って来れないことを知って、きっと困ったのでしょうね。

もしかしたら、私がそのうちには忘れてくれるんじゃないかと思ったのかもしれません。でも実際には毎日私から尋問をされる羽目に。

私は馬鹿正直に何で持ってきてくれないの?と食い下がったのでしょう。その結果、彼はどうしようもなくなってお母さんに泣きついたのかもしれません。

子供心に、なぜ持ってこれない理由を言ってくれなかったのかなと、不思議に思ったことを覚えています。

子供なので、そんなことはまるでなかったかのように、その後も一緒に楽しく遊んだのは言うまでもありません。