昔誰もが知っている「巨人の星」というアニメがありましたね。ずっと前に、その作者の方がアニメの主人公である星飛雄馬が勝手に動き出してしまうと言ってたことがありました。
どういうことかというと、物語の中での主人公がどういう行動をするかとか、次にどんなことをしていくのかということが、まるで本人が生きている人物であるかのようになってきたということ。
だから原作者と言えども、主人公に勝手な振る舞いをさせることができなくなってきたということなのでしょうね。
ここにはとても大きなヒントがあると思います。主人公のキャラクターが明確になればなるほど、作者の手を離れて勝手に動き出すということ。
彼は勿論架空の人物なわけですが、彼はもう沢山のアニメファンの心の中で動き出してしまったわけですね。それを作者が感じてしまうために、自由に筋書きを書けなくなったということでしょう。
実は、星飛雄馬は私たちなのです。私たちにも同じように自分たちの原作者がいるということです。それを真の自己と言ってもいいかもしれません。
それなのに、そのことをすっかり忘れて自分で自分の人生を生きていると思いこんでしまっているということですね。
飛雄馬が頑張って巨人の星になっていくように、自分だって自分の頑張りと努力によって何かを成し遂げることができるのだと思っています。
でも彼の活躍は、作者の想像と筆から出てくるものなんですね。そして作者は彼がどうあれ彼のことをとても愛しています。
私たちの作者もきっと私たちのことを深く愛しているものと思います。生きる力とか、様々な能力とか、愛の心とか、全部その作者から授かったものだと言えます。
でもどこからか、私たち自身で動き出してしまったのです。私たちの作者はたった一人ですが、それをみんなで共有しているわけです。
物語は動き出して自らを止めることができなくなってしまったかのように感じます。でも本当の作者のことをいつか思い出せるような気もしませんか?
その作者こそが、本当の自分であるということがいずれは分かるようになるのだと思います。