「自己防衛システム」の本性

私がいつもセッションでお伝えしている、「自己防衛システム」について、今日はさらに少し詳細な説明をしてみたいと思います。

3歳前後に芽生えた自我は、動物として生まれながらに持っている防衛本能を利用して、精神的に自分を守ろうとする「自己防衛システム」を作っていくのです。

自分の命を守ろうとするという意味においては、防衛本能と同じなのですが、違う点はそこに思考が介入するということです。

ということは、例えばお腹が空いたときにワンワン泣くという場合には、その「自己防衛システム」が使われることはありません。

なぜなら、そのような場面における恐怖は、ほとんど理屈ぬきの恐怖だからです。思考を介入しない文句なしの恐怖の回避に使われるのは、防衛本能なのです。

それに対して、幼子が作り出し始める「自己防衛システム」は、もっと明確な恐怖からの防衛のために使われるのです。

それは、周りの大人から嫌われて見捨てられないようにするということ。否定されて無視されたら、幼子は一人ぼっちでは生きていけないからです。

愛されたいというよりも、自分の思いが相手に伝わってそれを受け入れてもらうためには、自分を嫌われないようにしなければならないということです。

そのためには、考えうる限りのあらゆる防衛の作戦を生み出して実践していくのです。そして、その多くの戦略は残念ながらその瞬間だけの効果しか期待できません。

所詮は、幼い子供が考え出す方法なので、人生レベルで有利に働かそうなどという発想も持ち合わせていないからです。

そればかりか、結果としてそうした「自己防衛システム」が稼動すればするほど、それに比例した自己犠牲が蓄積されることになり、自分で自分を傷つけ苦しめることとなってしまうのです。

毎日自分がやっている見捨てられないための「自己防衛システム」の手口を、しっかり見極めることです。それなしでは、それを静かにさせることはできません。

そして、大人の自分は誰かに見捨てられるなどということは不可能なのだと、はっきり気づくことも大切なことですね。