「人生は物語」という視点

私のモットーの一つに、「人生は物語である」というのがあります。ですから、セッションのときにも時々はそのことについて触れるのです。

けれども、その言葉の本質を見抜くことができないと、非常に反発を感じてしまう言葉であることも理解しています。

それは、たとえば必死に生きてきた人、逆境に耐えながら血の滲むような苦労をしながら生きている人にとっては、不真面目な印象を与える言葉なのだと思うのです。

軽はずみな言葉のように聞こえてしまうのは無理もないことです。でも、人生が物語りだということは、決してそういうニュアンスのことではありません。

誰もが映画やテレビなどで、さまざまな物語を観る機会があるはずです。そのときに、あまり気が乗らない内容なら、つまらない時間をすごしたことになりますね。

逆に、自分がそれを観ていることすら忘れてしまうくらいに、のめり込んでしまえるときには、その映画やドラマをまるで自分のことのように感じているわけです。

だから、観終わったときにはいい時間を過ごせたなという感想を持てるのです。けっして物語だからといい加減な気持ちで観ていたわけではありませんね。

深刻さはないものの、真剣に観ていたということです。この「深刻さのない真剣さ」でいることを表現した言葉が、人生は物語であるということなのです。

満ち足りた人生を生きるためには、逃げずにしっかりと人生と向き合う必要があります。これが、真剣さです。

その一方で、恐れに負けずになるべく無防備に生きるためには、深刻さがもっとも邪魔になるのです。

自分の人生も含めてこの世界全体が物語りであるという視点、それは何からも逃げずにまんまを感じきる生き方を指しているのです。

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