「ただあるがままを見ている」実践

皮肉なことに、私たちに大切な気づきがやってくるときというのは、決まって何かがうまく行ってないと感じるか、あるいは都合の悪い状態になっているときなのです。

けれども、考えてみればこれも当然のことなのだと分かります。物事がうまく行っていたり、都合のいい状態であるときに、それを変えようとは誰も思わないのですから。

今が幸せだと感じるときに、それを何とかしようなどと思う人は一人もいないのは、当り前のことですね。別に大切なことに気づかなくても、幸せならいいじゃないかとも思うわけです。

けれども、それもそう長くは続かないのです。この世界はすべてが一過性で成り立っているのですから。そしてまた、困った事態というものがやってくることになるのです。

人はそれを、どうしたものかと思い悩み、何とかしようと考えるのです。その時点で覚えておかねばならない大切なコツのようなものがあるのです。

それは、外側では何等かの行動が起きるかもしれませんが、内面では静観し続けるということです。見るという立場になっていることから意識をはずさずにいるということです。

これはいわゆる現実逃避とは根本的に違います。一歩も逃げずに、「ただあるがままを見ている」ということを実践するのです。上手くいけば、そこは完全に困った事態とは無関係だということに気づくことができるのです。

起きている事態に100%で巻き込まれてしまうと、見ることはできなくなってしまうので、日ごろから見る実践を繰り返して、いつでもそのことを忘れずにいられるようにする必要があるのです。

もしもあなたが今何か困った事態にはまり込んでいると感じているなら、気づきのチャンス到来というわけです。そのことに飲み込まれずに、内側で淡々と「ただ見る」を実践してみて下さい。

問題は解決するのではなく、ただ見ることによって、それは問題ではなくなっていくということを知ることになるはずです。