子供の頃のことですが、理想の両親、理想の兄弟を勝手に作り出して、その家族の妄想の中で楽しむということをしていたことがありました。
それは大抵夜寝る前に布団の中で一人密かに楽しむのです。あまり夢中になってしまうと眠れなくなるので、ほどほどにして寝るのです。
けれども、その妄想は現実の家族とは違うものでしたので、それを追い求めるということはせずに済みました。
妄想の中で理想を作り出して楽しむのは別に悪くはないと思うのですが、理想を作って現実の中でそれを目指すとなると、事態は変わってきます。
というのも、理想の自分、理想の環境などを設定して、それを目指して生きてしまうと、間違いなく困難な人生が待っています。
それはそうですよね。理想とは程遠い現実からスタートしようとするわけだから、自分に対して厳しい評価をするようになるからです。
理想に到達できない自分を責めるし、あらゆる点で自分がダメ人間のように感じるだろうし、罪悪感にも苛まれることになるのです。
そしてその理想はいつまで経っても追い求める目標となって、実現することはありません。その間中苦しむことになるのです。
万万が一それが実現したとしても、喜んでいられるのは一時だけであり、また次の目標が必要になることは間違いありません。
月並みな言葉ですが、理想という未来に意識を向ける代わりに、今現在の自分を見つめて受け入れることができれば、それがどんなものであれ満たされることになるのですね。