若くて健康な人には響かない言葉かも知れませんが、人はいつだって死ぬ可能性を抱えながら生きているのです。
であるなら、もうまもなく死を迎えるときがやって来たとして、あなたの人生はどんなものだったかと聞かれたらどうでしょう?
総じて良かったんじゃない?と気楽に答える人もいれば、辛く惨めな人生だったと答える人もいるかも知れません。
あるいは、この人生に悔いなし!と断言する人もいれば、もっと◯◯すればよかったと後悔を口にする人もいるでしょう。
私は個人的にはどんな人生であれ、そこに間違いというのはないと思っています。善悪もないし、成功も失敗もないのです。
ただ生まれ、ひとときの人生を生きて、そして死ぬ。これだけです。無からやってきて、また無へ帰る。その間の夢のような出来事が人生です。
だったら何だっていいんです。生真面目に生きるのもよし、破天荒に生きるのもよし。明るく爽快に生きるのも、グダグダに生きるのも全てよし。
人の数だけ人生のバリエーションがあって、その全てを全体性は見守っているのです。どんな人生も誇れるものはないし、卑下するものもない。
価値判断も意味づけも一切が死と共に消失してしまうのですから。これが腑に落ちると、あらゆる人々の人生が愛おしく感じられて不思議な感じがします。