セラピストという仕事は、クライアントさんにとって概ね都合の悪いことを言ってくる嫌な人になってしまいます。
それは癒しの観点からすると当たり前のことなのですが、クライアントさんは自覚のないままに、これまでの自分を守ろうとするのです。
簡単に言ってしまえば、癒しの過程を妨害するのです。これまでの生き方をそのまま踏襲したいというのが、クライアントさんの深い部分の本音だからです。
そのことをクライアントさんと共有することができると、だいぶやりやすくなりますね。自分を癒したいと切望しているのは、自分の数十パーセントしかいないと理解できるからです。
クライアントさんの中で抵抗がやってくると、セラピストの言葉というのはとにかく入りづらくなってしまうのです。
何度も繰り返して言葉を聞こうとしても、まるで内側に入り込まない呪文のように聞こえてしまうのですから、仕方ないですね。
私自身はこうした現象をとても興味深く思っていて、言葉は悪いですけれどそれを楽しんで見ていることができます。
しばらくして、それを乗り越えてしまった後のクライアントさんに、あの頃はこのようなことを言ってましたよと伝えても、ご本人はあまり覚えていないのです。
これはクライアントさんあるあるなのですが、通過してしまったことはあまり記憶に残っていないことが多いのです。
そればかりか、そのことに興味すら持っていないのですから面白いですね。そうした様をずっと見せてもらっているので、セラピストというのは本当にいい仕事だと思いますね。