他人のことはよく分かる

私は約10年前に癒しを始めたときに、なかなか自分が変化したという自覚を得ることができずにいました。

一緒に癒し始めたヒプノのクラスの仲間たちは、会うたびにこんなふうに楽になったとか、こんなことに気づくようになったとか、口々に言っていました。

自分だけが一向に変化しないなあと半ばいやになっていたときに、講師の方からご家族のみなさんはどうですかと聞かれたことがありました。

その時に、自分以外の家族がみんななんとなく変化してきたという感覚がありました。それを思ったときに、ああ本当は自分も変化しているんだなと思えたのです。

自分が変わったからこそ、家族も変化してきたのだろうということが直感的に分かったのです。つまり、そのくらい自分の事というのは分かっているようで実は分かってないということだったのです。

自分以外の人のことというのは、ほんの些細な変化でも分かるものですし、ここをもう少しこうすればもっと楽になれるのにといったようなことが手に取るように分かったりします。

なぜこれほどまでに、自分のことと他人のことで違いがあるのでしょうか。それは、他人のことは比較的客観視することができるからです。

客観的に見るということは、それだけ自分を防衛する必要がないということなのです。防衛せずにいられれば、それだけ冷静にそして理性的に見ることが可能なのです。

逆に自分のことは、常に防衛しようとする意識が働いているために、都合の悪い自分については自覚しないままに目をそらしてしまうということです。

ですから他人のことであっても、自分との強い利害関係などがある場合には、やはり防衛が働くことがあるために、客観視できなくなってしまうということもあり得るのです。

自分のことを深くそしてあるがままに見つめるためには、利害関係のない他人を客観的に見るようなつもりで見てあげることが是非とも必要なのです。