個人としての自分を見つけられない

夜寝る前に、心を静かにして今日一日の自分の体験を思い出してみると、とても面白いことに気づくことができます。

それは、どの場面を思い出しても、そこには個人としての自分を発見することができないということです。そんなわけはないと言われるのは分かっているのですが、でもそうなのです。

これを体験するためには、自分が無自覚に作っているイメージを停止させる必要があります。それは、自分という人物があらゆる場面で活動しているというイメージです。

そうです、それは単なるイメージに過ぎないのです。ただただ、自分がその場面で体験したことだけを正直に思い出すことに成功すると、そこにはイメージの中の自分はいないと気づくはずです。

その代わりに、広く開いた一つの大きな視点からこの世界を見ていたということに気づくのです。その視界の中には、入れ替わり立ち代り、様々なものがやってきては去っていく。

時には部屋の景色であり、またあるときは出かけている際の街路だったり、それは忙しく過ぎ去ってはまた新たな事象がやってきます。

自分が個人であるとのイメージをでっち上げない限り、こうした事象は自分の内部で起きていることだと分かるのです。

映画館で映画を観賞しているのとあまり変わらないのです。ただ、映像が写されるスクリーンが外側にあるのと、内面にあるのとの違いがあるだけです。

こうした感覚は、リアルタイムで感じるというよりも、今日のことを思い出しているときの方がより分かりやすいのかもしれません。

すべての場面が私自身であるという表現が近いかもしれません。したがって、どこをどう記憶を戻してみても、個人としての私は出てくることはありません。

これはとても面白いことですので、興味があれば試してみて下さい。そして、望むべくはリアルタイムでそれを直に感じることができるようになることだと思います。